佛乘寺西宮支院の庭
佛乘寺中庭に続き、作庭依頼を受けたのがこの西宮支院の庭。
庭の構想について、ご住職・奥さまからは「何も求めない、あなたが思う庭を造りなさい。」というお言葉をもらいました。
長期にわたり悩み続け、いよいよ着工の日がやってきました。
300㎡もの広大な敷地には、樹木などのたくさんの既存素材が。
また、少し土を掘れば、拳ほどの石がゴロゴロ。
私はそうした古くからこの地にいた者たちを、新しい形で甦らせようと試みました。
外門を潜り踊り場部分に出ると、迎えてくれるのは大きな石組み。
この石は、元々2/3以上土に埋まっていたもので、掘りだすと非常に大きな石で驚いたことを今でも覚えています。
何とも言えない表情をした古くからの住人に、皆様を出迎えてもらおうと決めました。
庭の中心部分に立てたのは、大ぶりの石。
元々庭の角に伏せて転がっていた石ですが、見ると表面には水が作り出した造形が広がっています。
庭の奥には湧水が出る池があり、阪神淡路大震災時にも生活用水として近隣住人からも利用されていたそう。
池周りを補強し直し、生物が住むことのできる池へと作り変えました。
また、庭の主要部分には水辺の風景を石によって表現。
この庭には特別な思想は何もありませんが、人間が求める自然の形だけが存在しています。